父は82歳になった

年を取るごとに父が 小さくかわいくなっていく。
それが嬉しいことなのか
悲しいことなのか
自分でもわからない。

けれど 今も元気でいてくれる。
それが本当にうれしい。

私の人生は
ずっと 母がすべてだと思ってきた。
母の受けとめてくれることがすべてだと思ってきた。

けれど 今になってしみじみと思う。
私の人生は やはり父だったのだ。

父にだっこされたこともなく
手をつないでもらったこともなく
スキンシップの記憶はまったくない。

私は きっと
ずっと父の愛情に飢えていた。
父親に誰より愛されたかった。

父にだけは
似たくないと思っていた。
母のすべてを受け継ぎたいと思った。

けれど私は 顔も父親似で
私の中にしっかりと父がいるのを感じて生きてきた。


神様は こうして父に
家族と長く向きあう時間を与えてくださった。

そして私たち姉妹には
父を許す時間を与えてくださったのだと思う。

帰るだびに 父の優しい笑顔が迎えてくれる。
小さい頃 決して見れることのなかった優しい笑顔に胸が熱くなる。


・・・私はちゃんと愛されていたのだ。

あまりにも不器用だけれど
ずっと父は 私のことを
誰より愛してくれていたのだ。


お父さん ありがとう。


こんな娘で本当にごめんなさい。
やっぱり
お父さんの娘でよかった。

これからもお父さん
元気でいてね。