
彼岸花と秋桜
秋の青空のもと
一緒に咲いてる
彼岸花は几帳面。
筋を通して お彼岸に
背筋を伸ばしてきちんと咲いた。
今年もきっちりお約束果たし
誇りをもってしゃんとして。
ところがせっかく咲いたのに
自分のそばでは秋桜が
ふわふわゆらゆら咲いている。
せっかくきちんと咲いたのに
秋のお空も見えづらい。
私だけを見て欲しいから
葉っぱもつけずに
真っ赤にきれいに咲いたのに。
彼岸花はたまらなくなり
秋桜にこう言いました。
「あなたとは私は違いすぎる。
気ままで風まかせなあなたの生き方が
私にはわからない。
自由でふらふら いい加減
それでいて優しげに咲いて
いつもみんなに愛される
あなたのそばで
私は咲きたくはないの。」
そうしたら
コスモスは身体を自分に近づけるようにして
微笑んで言いました。
「私もあなたと同じ秋に咲く花。
私もあなたの仲間です。
そして私もあなたと同じように
悲しみもいっぱい知っています。
だからこそ こうしてあなたと同じ季節に
こうして咲いているのです。
私は風にこの身をあずけながら咲くことしか出来ません。
私はあなたの美しさもよく知っています。
決して私は空ばかり眺めてはいません。
あなたのそばで
あなたが誇り高く咲いている姿もいつも見ています。
だからどうぞ私もいっしょに
あなたのそばで咲かせてくださいな」
彼岸花は何も答えずに
黙っていましたが
本当は胸が熱くなり
ますます赤く咲きました。
対照的な二人だけれど
いつしか二つの花は打ちとけて
静かな丘で空を見上げて語らいました。
秋の空は より青く澄み切って
ふたつの花を包んでいました。
秋風もうれしそうに
いつもより優しく吹きました。
彼岸花と秋桜と。
静かな秋の物語。
早速こちらに来ています。
わぁーわぁーわぁー! すてきですね。
彼岸花は、忌み嫌う人とその艶やかさに惹かれる人とに別れるみたいですね。
秋桜はなんとなく儚げで優しげだから守ってあげたいなと思うのかな。
対照的な二人が空を見上げて語る世界、まさにメルヘンですね。
お互い、正反対だからこそ惹かれあうこと、有りますよね。
持ってない、自分にはない魅力とかに。
彼岸花と秋桜は、きっとお互いが好きなんだと思いますね。
秋桜が、私もあなたと同じように悲しみもいっぱい知っています。と語る部分
わたしは好きです。
悲しみを知ってるから、人は人に優しくなれるんじゃないかな。
彼岸花と秋桜を詠んだ俳人の句が有ります。
コスモスの揺るる影さへしあはせに
内田啓
つきぬけて天上の紺曼珠沙華
山口誓子
彼岸花と秋桜を詠んだ俳句が多いのに気がつきました。
違い過ぎる花だけど、どちらも魅力的な花なんでしょうね。
教えて下さって嬉しかったです。
ありがとう♪