id-4345030011

菜の花咲いて
今年もひとり。

さみしさに慣れたから
もうわたし、待たないの。

春はかなしい季節だから
こんなにやさしく風が吹き
明るい花がいっぱい咲くと
やっとわかって心を決める。

隠れ続けてきたわたし。
もう出ておいでと呼ぶひとは
お日さましかいないのね。

菜の花畑でわたしはひとり。
朧月夜に涙をぬぐう。

帰りたいあの場所は
遥かに遠い空の果て。

それでも春が来るまでは
生きてみようと考える。

忘れかけたあの声が
聞こえてくることを夢に見る。