のりえの音楽の輪・別館

言葉は憧れ、言葉は人生。そして、言葉は心を解き放す自由の翼です。

メルヘン

菜の花畑に住むうさぎ

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長く菜の花畑に住むうさぎ
まだまだ迎えが来ないから
空を見上げて懐かしむ

もっともっと、と思ってた。
愛がほしいと思ってた。

あの頃はわからなかった。

だけど今、気づいたの。
もう、十分すぎるほど
愛をもらっていたことに。

本当に、十分だったのよ。

菜の花畑で見上げるうさぎに、
弥生の空が語りかける。

そんなこともわからなかったのか、と。

だから春は苦手なの
弥生の空に責められる。

そう言いながら
今年のうさぎは
菜の花畑でにこりと微笑む

菜の花畑に住むウサギ

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菜の花と桜が咲いて
今年もわたしの誕生日

青空は憧れ。
太陽は希望。

そして月は
いとおしい思い出。

いつまでたっても
菜の花畑から動けない

あの月へと帰りたいけれど
いまだに誰も迎えに来てくれないの

うさぎは月が恋しいものよ
記憶が私を泣かせるの

もう孤独にも慣れたけど
やっぱり夢に現れる

菜の花畑に住むうさぎ
今年もまたひとり
空を見上げる

菜の花畑に住むうさぎ

あたしは 菜の花畑に隠れて
ずっとずっと待っていた。

何年待ったか わからない。
わからなくなっちゃったの。

今年は菜の花畑がささやかで
隠れる場所もなくなった。

もういいのよ
迎えに来てなどくれないの

お月さまに戻ってしまったから。

だからあたしは待つことをやめて
ここから旅立つことを決めた

そのうち お月さまからハシゴが降りて
きっとあたしを連れて行ってくれる。

ひとりには慣れているの。
だから覚悟を決めて生きてみる。


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菜の花畑のうさぎ

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また今年も菜の花咲いて
ぽかぽかふわふわ、春が来た。

菜の花畑に住むうさぎ。

物思いにふけっているうち
気がつけば一年経った。

どうするの。

こんな風に
考えているうち一年すぎた。

はやく

はやくしないと
あたしの人生終わっちゃう。

急がなくちゃ。
急がなくちゃ。

菜の花畑を走るけど
外の世界に飛び出せない。

今年こそ
今年こそ・・・

そう思いながら生きている。

菜の花畑に住むうさぎ

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菜の花咲いて
今年もひとり。

さみしさに慣れたから
もうわたし、待たないの。

春はかなしい季節だから
こんなにやさしく風が吹き
明るい花がいっぱい咲くと
やっとわかって心を決める。

隠れ続けてきたわたし。
もう出ておいでと呼ぶひとは
お日さましかいないのね。

菜の花畑でわたしはひとり。
朧月夜に涙をぬぐう。

帰りたいあの場所は
遥かに遠い空の果て。

それでも春が来るまでは
生きてみようと考える。

忘れかけたあの声が
聞こえてくることを夢に見る。

うさぎ

あたしはうさぎ

あたしはピンと耳を立て
菜の花畑で隠れてる

もしかしたらあのひとが
あたしの名前を呼びながら
探しに来てくれるかもしれないと

あたしは安全な場所で
じっと静かに待っている

あれはもう 随分と前のこと
ぬくぬくと暖かい部屋の中で
育っていたあたし

だけどある日 野に放たれて
あたしは 帰るお家を見失ったの

あたしはひとりでも
きっと生きていけるけど
いつもあのひとを思い出す

もしかしたら あのひとが
ひどく後悔して
あたしの名前を呼びながら

泣きながら探しに来てくれるのではと
心のどこかで思ってる。

菜の花畑で 今日だけは
待ってみたいと思ってる。

あしたになれば
ふっきれて
野うさぎとして生きてゆく。

だから今日一日は
聞き耳を立てこの場所で

あたしは 待ってみるつもり。
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消えた影

強い光の中で立つあなたに
あなたの影は言いました。

 「私はあなたの影ですが
 もう あなたから離れます」

それはあなたが絶好調の時でした。

気にもとめていなかったあなたは
心の中で思います。

 「私の影がわたしから
 離れられるわけがない。」

あなたは心でそう思い、
てきとうに受け流してしまいました。
放っておいてもついてくる、
それが影というものだろう。
変なことを言うやつだ、と。

あなたの影には
あなたの思うことはすべて伝わっていました。
影は黙っていましたが
心の中でつぶやきました。

 「強い光を受ければ受けるほど
 わたしという影は強まります。
 けれど、まぶしい光、
 色とりどりの美しい光に照らされた
 今のあなたは、
 自分の影を振り返って見ることも忘れてしまいました。
 つねにそばにいて
 あなたを見ているわたしだからこそ
 あなたのすべてが見えてしまいます。
 もう わたしは必要ないようです。」

そうつぶやくと一瞬にして
静かに消えてなくなりました。

影を失くしたあなたは
まさか、とは思いましたが
特には何も困りませんでした。
さして影響のないことだ、と
知らん顔で過ごしていました。

雨の日や雲のかかる日には
まったく気にもなりませんでした。
どうってことないと思っていました。

けれど お日さまが燦々と注がれる日には
影のない自分を見て あらためて驚きました。

そして光が注がれる時には
消えた影のことを考えるようになりました。

あるべきものがない自分、に気づいたからです。

光と影は ひとつのものでした。
光があるから影があり、
強い影がある時は自分に
強い光が注がれていました。

そのことを知るべきでした。

影のないあなたは
もう知らん顔で生きることを決めました。

けれど時々 何かが足りないと
少し考えるようになりました。

消えた影は
あなたの心に影を落とし
あなたの胸の中で存在するようになりました。

失くした影をあなたは常に探しているのでした。

ウサギとニワトリ


しっかりもののニワトリのねえさんが
呆れたようにワタシを見るの。

「もっとしっかりしなさいよ」

あの声で叱られると
ワタシも穴から出てきたくないの。

一羽二羽と言われるけれど
ニワトリのねえさんとワタシは
あまりにも違いすぎるの。

ニワトリのねえさんは
しっかり者で 
シャキシャキと動き
卵も産んで
みんなのお役に立っている

だけど
わたしは
いつもひとりで

あのお月さまの中の
ウサギになるにはどうしたらいいかとか
毎日そんな
夢ばかりを見て

何を聞かれても
答えることもせず
自分の世界に閉じこもってるの。

見かねたニワトリのねえさんが
私に口うるさく言うけれど

そんな時は心の中でつぶやくの。

「だってワタシ、
可愛いだけが取り柄なんだもの。」

でもでも
決して言葉には出さないの。

だってますます叱られる。

そして今日も黙ったままで
ワタシは自分の世界で夢を見るの。

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****
写真はお友達のお宅に住む「ももちゃん」です。

「おかえり」

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あのさ、
僕だって忙しいのさ。

この家の玄関のプランターの中で
こう見えても家の番をしているんだ。

隠れていたわけじゃないよ。

もうすぐ待ちに待った
雨の季節が来て、
そうしたら僕は、
そりゃあもう、
てんてこまいなんだよ。

だから今はそれに備えて
準備もあるし
計画も立てなきゃならないし
大変なんだよ。

今も家の番をしながら
雨の季節の日程を
難しい顔をして考えていたところさ。

暇なんかじゃないよ。
失礼だなぁ。

ついでだから言わせてもらうけどさ。

君はいつも 
目が悪い、目が悪い、って
言うけどさ、
ぼくを一瞬にして見つけるくらいだからね。
目は悪くないよ。

そんなことで 言い訳なんか
しちゃいけないよ。

そして僕はこうして
忙しい中、
ちゃんと君の家の番をしてるんだから
ぼくに感謝してくれないと困るんだ。

なに大笑いしているんだよ〜。
そういうところが君のいけないところさ。

まぁいいよ。

とにかく 「おかえり」。

***
写真は わが家の玄関のプランターにいる青蛙です。
毎年雨の季節にはゲロゲロ鳴いてにぎやかです。
暖かくなったので、お出ましになりました(笑)

兎と神さま

月が腰掛のように細く輝く夜
兎はばたばたと神さまに会いに来ました。

「いそがしい、いそがしい。
 私はどうしてこんなにいそがしい。
 月が満ちるまでに
 神さまのお役目 こんなにたくさん。
 朝から晩まで走ってて
 なんだか本当に目が回る。
 どうしてこんなにいそがしい。」

息を切らし 耳をピンと立てて
神さまの言葉を待つように
やっとそこに座りました。

神さまは 言いました。

「あなたはすべてを背負いたい、
 忙しくしたいだけなのです。
 もうすでに 任務が完了していることまで
 いつまで背負って走ろうとするのですか。」

兎は 頬をプクッとさせて
まんまるな目をさらに丸くして言いました。

「いえいえ神さま。
 私の任務は終わっていないのです。
 まだまだ私はやり足りないのです。
 まだ何も報われていません。
 がんばればがんばるほど仕事は増えて
 私はなんだか目がまわる。
 だけどもっともっと
 私はがんばらないといけないのです。」

神さまは 少し笑って言いました。

「少し楽におなりなさい。
 任務完了したものは
 今夜あなたの記憶から
 そっと消しておきましょう。」

兎は 不満げに座っていましたが

「そうだ!急がなくちゃ。
 私はこうしていられない。
 神さま失礼いたします。
 また行ってまいります!!」

そう言って 失くした記憶にも気づかずに
次の任務へと走って行ってしまいました。

細い月だけが
静かに微笑みながら
兎を追いかける夜でした。
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薔薇と萩

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薔薇は優雅に咲いていました。

いつものように
薔薇の季節に。

春と秋
甘い香りをふりまいて
ゆったりと
またこの季節に。


ある日
ふぁんふぁんと風に揺れていた
萩にお花が、突然咲きました。

あわてんぼうの萩の花
薔薇のお花が咲いたので
自分の出番と勘違い

様子が違う空の下
咲いてびっくり おおあわて。

「薔薇さん薔薇さんごめんなさい
 私は本当にあわてんぼう
 私は秋のお花なのに
 こんな季節にどうしましょう」

薔薇の前で
飛んだり跳ねたり大騒ぎ。


薔薇は 黙っておきました。
声をあげて笑いたかったけれど
知らないふりして。

薔薇はいつもより
鮮やかに
華やかに咲いてみせました。

いつもひとりで咲いていた薔薇は
本当はうれしかったのです。

けれど黙っておきました。


薔薇と萩との物語。

夏に向かう季節の中のおはなし。

春の語らい

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春のつぶやき
花の語らい
春の花壇で
ひそひそばなし

小さな花がひしめく中で
かくれんぼしている
あなたはだあれ?

初恋草さん
お話し聴かせて
あなたの恋の
すてきなお話し

うんうん
なんだかキュンとする
あなたはいつも乙女なのね

マーガレットさんうれしそう
私もお話させてほしいな。
自慢話になっちゃうけどね。
にこにこしながら順番待ってる。

振り向くと 勿忘草さん
静かに揺れて
遠い目をしてため息ついた

忘れかけていた恋の記憶
今思い出しました、と。

ロペリアさんは
ふふっと笑う

みんなおしゃべりなんだから。
大人は何も語らないものよ。

だけど何かあったら
私に相談しなさいな。

春の花壇は
みんなで寄り添い
恋の話に花が咲く

お花の中でこっそりと
花の語らい聴いている

きっきうれしそうな
笑い声が聴こえたよ

隠れていても
我慢できない

かわいいあなたは
いったいだあれ?
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桜と十五夜お月さま

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十五夜お月さま
孤独な空より

見下ろす闇に
白い白い桜がもえる

 私は私はここですよ

 お話ししましょう
 こんな夜は

 十五夜お月さま
 あなただけ
 私のおはなし
 聴いてくださいな

十五夜お月さま
言いました

 わかっていますよ
 あなたのことは
 けれど私もあなたも
 美しく生きることがすべて。

 どうぞ何も語らずにいてください
 それがあなたと私の宿命。

十五夜お月さまと桜の花は
静かに静かに夜の中

優しい優しい夜の中。

彼岸花と秋桜と。

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彼岸花と秋桜

秋の青空のもと
一緒に咲いてる

彼岸花は几帳面。
筋を通して お彼岸に
背筋を伸ばしてきちんと咲いた。
今年もきっちりお約束果たし
誇りをもってしゃんとして。

ところがせっかく咲いたのに
自分のそばでは秋桜が
ふわふわゆらゆら咲いている。

せっかくきちんと咲いたのに
秋のお空も見えづらい。

私だけを見て欲しいから
葉っぱもつけずに
真っ赤にきれいに咲いたのに。

彼岸花はたまらなくなり
秋桜にこう言いました。

「あなたとは私は違いすぎる。
 気ままで風まかせなあなたの生き方が
 私にはわからない。
 自由でふらふら いい加減
 それでいて優しげに咲いて
 いつもみんなに愛される

 あなたのそばで
 私は咲きたくはないの。」

そうしたら
コスモスは身体を自分に近づけるようにして
微笑んで言いました。


「私もあなたと同じ秋に咲く花。
 私もあなたの仲間です。

 そして私もあなたと同じように 
 悲しみもいっぱい知っています。
 だからこそ こうしてあなたと同じ季節に
 こうして咲いているのです。
 私は風にこの身をあずけながら咲くことしか出来ません。
 私はあなたの美しさもよく知っています。
 決して私は空ばかり眺めてはいません。
 あなたのそばで
 あなたが誇り高く咲いている姿もいつも見ています。

 だからどうぞ私もいっしょに
 あなたのそばで咲かせてくださいな」

彼岸花は何も答えずに
黙っていましたが
本当は胸が熱くなり
ますます赤く咲きました。

対照的な二人だけれど
いつしか二つの花は打ちとけて
静かな丘で空を見上げて語らいました。

秋の空は より青く澄み切って
ふたつの花を包んでいました。

秋風もうれしそうに
いつもより優しく吹きました。

彼岸花と秋桜と。

静かな秋の物語。

カルミアのパラソル

風薫る青空の下で
かわいいカルミアのパラソル

薔薇の園の その奥の
秘密の国の小びとたち

今日はカルミアのパラソルで
おしゃれしてお出かけ

  「まぶしい陽ざしにも負けないの。
   カルミアのパラソルで大丈夫。

   だけどみんな気をつけて。
   パラシュートみたいに
   飛ばされないよう しっかりね。」

着飾った小びとたち
うれしくて

おねえさんの大切なお話も
うわの空

白いパラソル ぱっと開けば
笑顔もはじける

秘密の国の小びとたち
風の中で うれしそう

かわいいカルミアのパラソル
すてきな五月のおでかけ。
Profile

のりえ

大切なことを
学び続ける人生にします。
「日々是精進」
sinse 2006.1.12

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