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夏が来る前の
この静かな雨の季節に

私はひとり
紫陽花色の
レースを編んで
静かにながめる

むらさき色の七変化

見えない場所で
不思議な力が
お花の色を変えている。

紫陽花は
すべてを自分の中に閉じこめて
何も語らずに。

うれしい顔もせず
自慢することもせず

自分の中で抱きしめる

本当は
陽の光 一身に受けながら

しっとりと
さみしげに
雨の中で輝いてみせる

だけど
わたしは知っている

紫陽花の気持ち
よくわかる

紫陽花は
しあわせな花

一番幸せを
知っている花。