長く育ったこの場所が
私はとても好きだったけれど
いつまでも
ここにいるわけにはいかないのですね。
私もやっと、
やっと心の準備ができました。
風さん
吹いてくださいな。
地に貼りつくように
ささやかにこの場所で
ひっそりと生きて
それでも蕾のときめきも
花開く歓びもありました。
名残り惜しいのですが
これが私のさだめでしょう。
四月の風に乗って
私は旅立ちます。
新しい世界が
安らぎに満ちているように
わたしは空を見上げます。
風さん 吹いてくださいな。
そして私を
幸せな場所に
光あふれる場所に
連れていってくださいな。
***
庭に咲いたタンポポです。
かわいい 綿毛をながめます。